2023-03-16社長ブログ

国際女性デーに世界を見て感じた「女性活躍」の問題

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こんにちは🙋‍♀️ 株式会社ヒュープロ代表の山本玲奈です。

国際女性デーに世界での女性のあり方を議論するためにForbes 30/50 Summitに参加してきました。 世界50ヵ国から、500名以上の女性リーダー達が集まり、Under30として参加をさせていただきました。

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世界中の女性リーダーの皆さんが参加し、真剣に議論をし、非常に多くの学びを得ました。 思った以上に世界ではジェンダーギャップに対する問題に真剣に取り組んでおり、みんなそれぞれが意見を持っていました。

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ずっと、感じていた違和感

私には、それまで感じていた漠然とした違和感がありました。

それは、女性活躍のために、男性の育児参画が多く叫ばれていますが、何となく小手先な施策にしか感じ取れない、ということでした。

とても大事な意識変革であるということはもちろん感じています。 しかし、 根本的に かつ 生物学上どうしても変えられないこと に対する言及をする方が少なすぎる、と感じていました。 (※私は一人の女性として出産や育児を経験したことはないため、まだまだ知らないことも多いということは前提にご了承いただきたいです。)

意思決定者の女性比率を上げるなど、意識変革に対する取り組みはまだ発展途上であり、 さらには、それだけでは、女性個人の成長、女性のキャリアを育むことと同時に社会の成長、会社の成長を生むには足りないと感じます。

今回のサミットでは、多くの共働き世帯が実在する香港、男女格差においてメンタル面の発達が必要だと訴えかけるアフリカ、女性の賃金格差を無くすと宣言し実現したUAE、その他ポーランドやフィリピンなど多くの国の事例と、客観的にどうして世界中でジェンダーギャップが生まれているのか、ということを知ることができました。

少しばかり皆さんとシェアをして、社会全体で考えるきっかけになれたら嬉しいと思います。

世界で見た、女性活躍の課題

UAEでは、5年前に女性の賃金格差を無くすという宣言が行われてから5年で実際に成し遂げられ、 このように女性のキャリア形成が できている 国もあります。

キャリア形成がしやすい国があり、しにくい国があり、それでも女性の意思決定者が増えない実態もあり、 そこにある課題を私なりにまとめたいと思います。

私が感じた、女性活躍の根本に潜む三つの課題。

  1. 物理的な課題
  2. 意識(文化)の課題
  3. 教育の課題

物理的な課題

一つ、会話の中で大きく感じたギャップ。 それは各国における女性活躍の話題において「育児にかける時間」や「仕事と家庭の両立」について、議論が生まれる国と、生まれない国があったことです。

香港やUAE、フォリピンでは家庭と関係なく女性もキャリアを築いていくことは当たり前でした。 一方で、私(日本)やヨーロッパの複数国では多くが育児と仕事の両立について乗り越えられていない実態について話していました。

そこにあった違いは、出産後の育児にかける時間 を どのように対応しているか でした。

アジアではハウスヘルパーさんやベビーシッターの活用が盛んで、 フランスでは非常に安価で夜遅くまで子供を預けることのできる保育施設や制度が整っています。

つまり、 家庭の仕事 と、 職場の仕事 があった時、 家庭の仕事をアウトソースするリソースが整っている と言うことです。

家事や育児の「やらなければいけない」ことをベビーシッターやハウスヘルパーの力を借りて行い、 家事や育児のストレスを軽減し、物理的には子供の教育に時間を費やしています。

これほど、女性の活躍において、出産後の「 仕事に時間を投下できる時間 」や「子供の教育を考える時間 」そして「 温かく過ごす場所としての家族 」を確保できるのか、と言うことは大事なキーファクターだと思いました。

これは安価にベビーシッターやヘルパーを雇用することができるからと言う社会構造上のメリットを持つ国々の特徴であり(例えば東南アジアでは、ヘルパーさんを月に3〜10万円ほどで住み込みで雇用することができます)今の日本でも金銭的な課題を解決することで取り入れることができると感じています。

現状では出産に加えて、育児期間(主に子供が体調を崩しやすい保育園期間)を基本的に女性が責任を持つ、という状況が物理的に女性にキャリアを進める「ギャップ」を作っているのが現状です。

それを、妊娠期間、出産期間、育児期間①(〜5歳くらい)、育児期間②(小学生くらい)など複数のフェーズがあり、最短でも3年ほどはキャリアギャップを持ちうる女性の物理的な問題に対して、 「男性の育児参画」という側面だけを切って議論をするだけでは、育児期間の物理的な問題を埋める手段論に過ぎず、実態として生じる物理的な制約の解決は不十分だと感じました。

女性のキャリアを全体像から見て、 物理的には仕事を止めないといけない期間がいつなのか、を明確にしながらそれぞれ分解し、解決策を当てはめていくことこそ有効だと考えます。

その中で、育児期間①、②をアウトソースする方法は大きく解決をしてくれます。

文化(意識)の問題

多く議論が生まれたトピックとして「 意識の問題 」と言うことがありました。

物理的な課題を大いに解決している、共働き先進国の香港でも女性ボード比率は13%(それでも日本より多い)しかなく、 世界の数字で見ても女性ボード比率や、女性CEO比率はまだまだ少ないのも実態です。

また、日本でヘルパーの活用が進まない理由の一つに(お金の問題はもちろん大きいと思います)意識(文化的)な問題があると思います。

それは、女性が家庭を見た方がいい、と言う女性の中に潜む 義務感の と、女性自身も思う アンコンシャルバイアス の一環だと思いました。 また、それによって、キャリアを築くことは大変さが増すイメージから、望まない人が多いというのも実態です。

驚くことに、とある国では、女性がキャリアを描くことをあまり前向きではない、というお話がありました。 それは、男性が女性がキャリアを描くことを望んでおらず、女性もその方がいい(正確にはキャリアを築かない方が男性に守られると言う意識)、を思っているからだそうです。

さらに、よく聞く「(母親が子供といないと)子供がかわいそう」という言葉です。

これはあくまでも私の意見ですが。 子供がかわいそう(その後ろに続く言葉は、だから家を見るのは女性、子供と多く時間を過ごすべきは女性)と言う言葉は無意識のうちに、女性がキャリアに時間を費やすことに罪悪感を抱かせる文化的な言葉だと感じました。

子供が可哀想であると同時に、母親も可哀想です。 つまり、子供が幸せになる分、母親も幸せであることは自然なことです。

それを、日本では(特に)子供が可哀想という言葉で、母親の幸せを犠牲にしているシーンが多くあると感じました。 母親にとっての幸せ、それはキャリアのシーンで感じるやりがいや、子供の成長を目にする瞬間など様々で、それは男女共に平等なものであるはずです。

さらに、親世代にも大きな課題が潜んでいると感じました。 親世代が子供に苦労をさせたくないと思い「女の子だから」と言い、「女の子はね」と言うということです。

つまり親世代の意識改革が追いついていない限り、子供の多くは、女の子は家のことをする、男の子は仕事をする、という意識がさらに子供世代に浸透されていきます。

その発想は、子供の教育にも大きく影響が出ており(下記に記載)その教育がキャリア形成に大きく影響をしています。

私は、ここで変えるべき意識は、誰がやるかの平等を追い求めるだけではなく、 他の人の手を遠慮なく借りると言う文化の醸成です。

家族から「こうあるべき」というものを無くし、純粋に個人の幸せを追求する場と責任のあり方を変えることです。 そうすると、家庭を持つことは大変、と言うイメージも減り、子育てがもっと楽しいものになれば、 少子高齢化の改善にもつながるのではないでしょうか。

教育の課題

世界ではまだまだ、女の子には料理を教え、掃除を教える。 男の子にはスポーツをさせ、数学を勉強させる。

このような文化が根強く残っています。

その結果大人になると、女の子は家事が得意な方が良くて、男の子は難しい仕事をしている方が良い、というバイアスがかかった考えが生まれます。 この課題は、

教えることの格差を無くす

ということを通して、女の子への一方通行な教育の変革だけではなく、男女共に起こすことに意義があるというのです。

スポーツは体を作る一つの手法であり、女の子にも男の子にも教える。 STEAM教育はキャリア形成や課題解決をする思考法を手に入れる術であり、家事は生きるための術であり、女の子にも、男の子にも教える。

教育とは性別によって学ぶ分野を分けるのではなく、 一つ一つが何の術であるかを理解した上で平等な教育提供をすることこそ鍵だと言います。

つまり、子供の時から数学的な思考に触れ、生きる術を学ぶ機会を男女共に引き上げることこそ、 中長期的なキャリア形成に役立つと思い、まずは子供の教育を変えることが、将来の女性活躍にも、男女の家事育児の役割分担を容易にすることに大きくつながることを学びました。

では、日本では何ができるのか?

このSummitでは、活躍する女性の皆さんを見て、感じたことがあります。

女性がめちゃくちゃ楽しんでいる(仕事が好きと家庭が好きをごく普通に両立させている)

ということです。

仕事を通して個人のミッションをクリアし、達成感を感じる。 家庭を通して温かみを感じる。 このように、一人の女性としてあらゆるコミュニティでプラスを得る考えを持っています。 そこから見える姿は、みんな笑顔で、活気があって、未来を感じています。

つまり日本でも、職場でも、家庭でも 仕事をしなければならない 、と言う状況を脱し、 過ごす(=仕事、家庭)時間の幸せにフォーカスをすることでもっと活気が生まれ、 女性活躍、少子高齢化、経済成長を生み出す循環ができると感じました。

まずは、日本でも取り入れたい 物理的な課題解決

そのために、

金銭の問題

文化の問題

を解決すること、です。

家庭における「仕事部分」を、アウトソースしていけると、お父さんも、お母さんも、平等に子育てや仕事両方にかける時間の総数を増やすことができると考えました。

一方で、日本でハウスヘルパーやベビーシッターの活用を試みようとすると、月約40万円( 1時間2000円×1日10時間と仮定 )かかってしまい、カジュアルに家の仕事をアウトソースすることは現実的には難しいです。

しかし、今日本では子育て支援やジェンダーギャップに対する取り組みにとても前向きで、 素晴らしい制度が作られてきています。

ベビーシッター利用支援事業 1ヶ月フルで活用すると約3万円の負担で済む計算になり(これだとアジア諸国と同等の金額で使える!)ます。

まだ、区によっては活用できる期間が異なる、などまだまだ制度上の使いづらい部分もありますが、国の補助があることは大きな前進です。

制度の改善を行いながら、活用できるエリアを広げていくことで、日本でも家事や育児のアウトソースにおける金銭的な問題は大きく解決されます。 さらに、企業のサポートも加わると、実質日本は他の国と同等、もしかしたらそれ以上に「物理的な課題」を解決できるようになると思いました。

ただ、課題は解決しません。

そんな制度が広がっても「使われない」問題があると思います。

今の日本ではまだまだ「家事育児は自分でやるべきこと」という

意識(文化)の課題が残っている

からです。

母親に責任感を感じさせる雰囲気が根強く、家事育児の仕事部分をアウトソースし、他の手を借りることを避けざるを得ない状況に追い込んでいるように思えるのです。

子供もかわいそうだけど、母親もかわいそう。

その時こそ、男性側の「押し付けない」と言うことや、本当にそうなのか?とアンコンシャスバイアスを疑う(女性が育児をやるべきだ、子供は母親にこそ愛されるべきだ、など)ことが大事で、 また社会としても、もっと楽になってもいい と言う雰囲気を醸成することが、 このような制度の活用につながると感じています。

つまり、男女ともに時間を活用できる総数を増やし、そのために意識を変えていくこと、が 今の日本の女性活躍につながると思います。

私が考える、私たちがやるべきこと。

まず、めちゃくちゃ考えて、意見を持つ、と言うこと

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サミットではとても多くのセクションがあり、さまざまな有識者の講演を聞くことができました。 休憩時間には「どう思った?」や「あの話私の国ではこうだった」と真剣に議論をしていました。 そして自ら感じる痛みや意見を「行動」として起こしていることがとても多かったです。

私たちは普段からどれほど、考えを持って議論をしているでしょうか。 誰かがムーブメントを起こすことを待っているだけになっていないでしょうか。 そんなことを考えさせられました。

1ヶ月考えれば何か一つはできることが生まれるかもしれません。 また、こうなりたいと言う気持ちがあれば、どうやったらそうできるのか?を考えるようになります。

最後に

昨年から特に、社会全体を巻き込んでいくことに本腰を入れて取り組み、 WaW(国際女性会議)にも参加をさせていただき、今回はForbes Summitに参加をさせていただきました。

まずは自分の視野を広げながら、本当に世界で起きていることを知り、そして自分からできることを見つけていきたいと思っています。

もっともっと、自分ごととして捉え、日本におけるジェンダーギャップの課題に取り組み、 世界規模で女性活躍に取り組んでいきたいと思いました。

それを、会社を通して、体現してみること。

もちろん、まだまだ課題はあります。 施策に取り組んでいるためにも、リソースの問題や資金の問題、ベンチャーらしくまだまだ解決しなければならないことは多いです。

だからこそ、めげずに会社を成長させ続ける ことに、改めて集中していきたいです。

日本から世界へ本気で挑むために。 そして日本を世界を牽引するリーダー国にしていくために。 自分ごととして、情熱を持って社会変革に取り組んでいきます。

ヒュープロは、そんな旅を一緒に歩んでくれる仲間を募集していますので、 みなさんのエントリーをお待ちしております!

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この記事を書いた人
山本 玲奈
株式会社ヒュープロの代表をしています。
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